最新技術を積極的に取り入れ
個人クリエイターたちの燃料に

 使いやすさを重視した東北ずん子のビジネスモデルは、個人クリエイターたちの利用促進にもつながった。

 ずん子をモチーフにした漫画やアニメなどの二次創作は、現在もファンコミュニティーの間で次々に作られている。また、クリエイターたちがより創作を楽しめるよう、3D素材や合成音声ソフトなどの最新技術を取り入れているのも特徴のひとつだ。

「音声合成ソフトなど、大きな予算がかかるプロジェクトについては、クラウドファンディングを利用しています。ずん子の姉という設定のキャラクター、東北イタコをボイスロイド化する際には、クラウドファンディングで2400万円近い支援金を集めました。これだけの資金が集まったのも、ファンの皆さんのおかげです」

 利用料が無料のキャラクターはほかにもあるが、企業が運営しているキャラクターで、ビジネスとして成功している東北ずん子のような例は稀有だ。ずん子がキャラクターとして確立することができた秘訣について、小田氏は「ファンとの信頼関係」だと語る。

「ファンに安心して遊んでもらうためには、来年、再来年もずん子が存在していることが大前提です。要するに大事なのは、キャラクターへの信頼なのです。それが確立するまで、最低でも6年はかかると想定して運営してきました」

 とはいえ、長期戦に耐えうる体力はどこから来たのか?

「運営しているメンバーは皆、本業をほかに持っています。だからこそ、のんびりキャラクターを育てることができたのです。たくさん稼ぐことよりも、長く存在することが最優先という考え方は、今も昔も変わっていません」

 今後は、東北への支援も続けつつ、ここまでキャラクターを成長させてくれた個人クリエイターたちへの還元も考えているという。

「ボーカロイドがブームになった際、アマチュアの作曲家や歌手がたくさん誕生し、その中からメジャーデビューした人もたくさんいます。同じように、ゲーム実況動画など、趣味で配信動画を作っている人の中から今後、映像監督が生まれる可能性も十分あります。東北ずん子が、才能ある人材を発掘する手助けになればいいなと思っています」

 2020年は、北米への進出も考えているという。東北ずん子は、今後もさらに成長していくに違いない。