「寝過ぎ」で脳卒中リスク増?
一晩に9時間以上寝たり、90分以上の昼寝をしたりする習慣のある人は、脳卒中を起こしやすい可能性があることが、華中科技大学(中国)産業医学教授のXiaomin Zhang氏らの研究から示された。夜間の睡眠時間と昼寝の時間がどちらも長い人は、特に脳卒中の発症リスクが高いことが分かったという。研究結果の詳細は、「Neurology」12月11日オンライン版に掲載された。
Zhang氏らは今回、中国の成人男女3万1750人(平均年齢61.7歳)のデータを収集。平均で6年間追跡し、夜間の睡眠時間および昼寝の時間、睡眠の質、睡眠時間の変化と脳卒中リスクとの関連について調べた。追跡期間中に、1500人以上が脳卒中を発症した。
分析の結果、高血圧や糖尿病、喫煙習慣などの脳卒中のリスク因子を考慮しても、一晩の睡眠時間が7時間以上8時間未満だった人に比べて、9時間以上だった人では脳卒中リスクは23%高いことが分かった。一方、睡眠時間が6時間未満と短くても、脳卒中リスクへの影響はみられなかった。
また、昼寝の時間が30分以内だった人と比べて、90分を超えていた人では脳卒中リスクは25%高かったほか、睡眠の質が高い人と比べて、睡眠障害のある人ではそのリスクは29%高いことも示された。さらに、一晩の睡眠時間が9時間以上と長く、かつ昼寝の時間も90分を超えていた人では、脳卒中リスクは85%と最も高いことも明らかになった。
Zhang氏は「適切な睡眠時間と質の高い睡眠を保つことは、脳卒中予防につながる日常的な行動を補うものだと考えられる。そのため、特に中高年の人は、夜間の睡眠時間や昼寝の長さと睡眠の質に気を配る必要がある」と述べている。