こうしたなか、一方的で理不尽な苦情を聞きながら、「着地点」を見出せないまま、クレーマーと対峙しなければならない現場の苦労と疲弊は、想像を絶するものがあります。

 先日、飲食店の倒産件数が過去最高であると報じられました。その背景に「人手不足」があることは間違いありません。

 人手不足を招いているのは、少子高齢化だけではありません。離職率が高いことも見逃せないでしょう。そして、離職理由の1つになっているのが、まさにカスハラなのです。

 飲食店に限らず、人手不足が深刻化するなかで、カスハラ対策は企業にとって喫緊の課題といえるでしょう。

 悪質クレームを野放しにすれば、従業員のメンタルヘルスに悪影響を及ぼし、長時間労働につながり、その結果、人材の流出を引き起こします。

組織が一丸となって対応するための「断る技術」

 もはや、従来の「お客様第一主義」だけでは担当者の身はもたないし、企業としても立ち行かなくなってきています。

 また、従業員が安心して働ける環境を整えることが、CSにもつながることを理解していただきたいと思います。

 ところが、クレーム対応を「現場まかせ」にしている企業が少なくありません。現場任せのクレーム対応は、カスハラを誘発しやすく、担当者の疲労感はさらに加速。ドミノ倒しのように離職者が相次ぐなど、企業の存亡にかかわる事態を招きかねません。

 カスハラ時代のクレーム対応としては、担当者一人ひとりがクレーム対応のスキルを身につけるだけでなく、組織として「仕組み」をつくっていくことが重要です。

 問題解決のために組織がワンチームになって取り組み、一気通貫の仕組みをつくれば、終わりがないように感じる「悪質クレームのトンネル」からも必ず抜け出すことができるのです。

 この連載では、巷にあふれる「自己中(ジコチュウ)で、非常識なクレーマー」「なかなか納得しない、面倒なクレーマー」「得体の知れない、隣のモンスター」に対して、誰でもできるシンプルな対応方法を解説していきたいと思います。