世間の声に打ち勝つためには「自分を知る」

 進路を決めるときにもうひとつ大切なのが、「自分を知る」こと。意外なことですが「自分が何を考えているか」は、自分が一番気づいていません。
 『世界一のプロゲーマーがやっている 努力2.0』に詳しく書いていますが、僕は大学院に進んだことで、自分は「やらされる」ということに対して我慢ができないタイプの人間なんだな、と初めて気づいたんです。
 受験レベルだとどんな勉強も耐えられていたけど、大学院の研究となると自分で楽しさを見つけて切り込んでいける力がないと成立しない。中途半端な気持ちではできないと痛感しました。でも僕にはその能力がなかった。ならば本当にやりたいことに飛び込むのが自然だな、と思ったんです。

 それまでの僕は、麻布に入るときも、東大に合格したときも、人が敷いたレールの上を走り、人から与えられた課題を解いていただけでした。でもプロゲーマーになると決めたときは、初めて「自分はこれがやりたい人間なんだ」と分かった瞬間でもあったんです。AかBを選ばなければならないという「踏み絵」のような状況になって初めて、自分の「心の声」を聞けた、という感じですね。そこからはもう迷いませんでした。

 どちらの道に進むか迷ったら、まずは「具体的な未来」を想像してみる。もし、すぐに想像できないなら、思い切るのは少し早いかもしれません。まずは「その業界」「自分の心」を知るところから始めてみてはいかがでしょうか。