「麻布→東大卒」でありながら「プロゲーマー」という経歴が、世間の話題となったときどさん。しかし順風満帆だった彼のプロゲーマー人生は、ゲーマー20年目の2013年ごろに壁にぶつかった。格闘ゲームのeスポーツ化による環境の変化によって、全く勝てなくなったのだ。
2冊目の著書『世界一のプロゲーマーがやっている 努力2.0』では、そのV字回復の軌跡を紹介しながら、ときどさんが毎日やっている「努力のやり方」を紹介している。「圧倒的に変化が激しい」eスポーツの世界で戦うために、必要なこととは何か。今回は、彼自身の体験をもとにビジネスマンにも役立つ「自分のキャリアの選び方」について語ってもらった。(文/山本奈緒子)
東大の友人も、ゲーマーの友人も反対したプロゲーマーの道
僕は東大大学院を中退して、プロとしてゲームの世界に飛び込みました。
しかし、今から約10年前、2009年当時は「プロゲーマー」などという職業はほぼないに等しい状態。僕はウダウダ迷い、道を決められずにいました。
一番の迷いの理由は、「東大を出たのに」という世間の声でした。周囲の反対はものすごかったですね。
僕をよく知る周囲の友人たちに相談したのですが、全員に反対されました。「やめとけ、何言ってんだ!」と。
特に、一番反対してきたのが、実はゲーマーの仲間たちでした。それも当然で、当時のゲームシーンは本当にマイナーでしたから、ゲームの世界でご飯が食べれるようになると思っていた人はほとんどいなかったと思います。今年「eスポーツ」の世界に飛び込むのとは全然違います。
それでも今の道に進んだのは「具体的な未来」を想像したからでした。
当時の僕には、2つの未来の選択肢がありました。1つは、公務員や企業などに勤めて趣味でゲームをやるという道。もう1つが、プロゲーマーになるという道。
「10年後、公務員の自分がテレビで活躍しているプロゲーマーの姿を見たらどうだろう?」とリアルに考えたとき、「絶対に耐えられない!」と思った。その瞬間、ついに心が決まりました。