まずは将来を想像できるくらい「業界を知る」

 この「具体的に未来を想像する」という方法は、会社を辞めたり、キャリアをがらっと変えようか迷っている人にも取り入れやすいのではないかと思います。
 ただし、僕は決して「こっちの未来に行きたい!」と思ったらすぐ飛び込めばいい、とお勧めしているわけではありません。僕は東大卒のプロ格闘ゲーマーという肩書ゆえ、清水の舞台から飛び降りるように「えいっ!」とゲームの世界に飛び込んだかのように思われがちですが、それは違います。

 僕は、高校生の頃から親に頼んで、海外の格闘ゲームの大会に出場させてもらっていました。当時、日本のゲーム市場はまだまだでしたが、アメリカの大会に実際に参加してみると、その盛り上がりや規模が「倍々」になっていくのを感じました。業界の成長を自分の目で見ていたからこそ、
・格闘ゲームがテレビで放映される日が来るかもしれない
・プロゲーマーという職業が成り立つ日も遠くないのでは
という想像ができたのです。

 業界のことを知らず、実際の大会に全く足を運ばずにこの決断をしたら、それは単なる無謀でしかないでしょう。今振り返ると、僕は「具体的な未来を想像する」ための体験を積み重ねていたんです。もし皆さんが今とは全く違う世界に進みたいと思ったなら、まずはそこに関わるいろいろな場に行って、その職業を取り巻く状況がどう変化していっているかというのは体感したほうがいいと思います。