「路上の炊き出しは、中高年を中心とした男性が並んで順番を待つわけです。女性がそこに並ぶことは難しいという課題があります。だから、『屋内で、女性も参加しやすい雰囲気にして、支援につながることもできる場をつくりたい』という思いがありました」(稲葉さん)
 
 延べ102名となった「年越し大人食堂」の参加者のうち、女性は21名だった。通常、貧困問題に関する集会や炊き出しの参加者の圧倒的多数が中高年男性であることを考えると、稲葉さんたちの「女性も参加しやすくしたい」という思いは、実現できたと考えてよさそうだ。

「年末年始ホームレス」の人々を
路上の手前で支援できる可能性

「大人食堂」は、2019年のゴールデンウイークに仙台で始まった。「平成」から「令和」への改元が行われた5月1日が休日となったため、10連休となったゴールデンウイーク中、仕事がなく収入が得られない非正規雇用の人々に対し、仙台けやきユニオンが、食事と居場所と相談の機会を提供したのである。

 連休中は役所が閉庁するため、たとえば生活保護を申請しても、すぐに生活費と住居が確保されるとは限らないからだ。

 今回の年末年始は9連休となった。役所が閉庁する事情は、ゴールデンウイークと同じだ。しかも年末年始は冬の寒い時期にあたる。このため毎年、多くのホームレス支援団体が炊き出しなど集中的な支援活動を行ってきている。しかし、そのような支援の手を届かせにくい人々が、女性以外にも数多く存在する。

「年末年始のこの時期だけ、路上に出てくる方々がいるんです。ふだんはネットカフェに寝泊まりしている、若年のワーキングプアの方々です。この方々を、路上の手前の段階で支援できないかという問題意識がありました」(稲葉さん)