東京都中野区で、2014年7月に運営が開始されて間もない個室シェルター「あわやハウス」。中は、どのようになっているのだろうか? どのように運営されているのだろうか? 今回は、「あわやハウス」の見学レポートである。
居心地よさそうな個室シェルター
今年2014年、社会運動家の稲葉剛氏が設立したばかりの「つくろい東京ファンド」は、第一弾企画として、東京都中野区内で定員7名の小さな個室シェルター「あわやハウス」の運営を開始した(前々回参照)。
「なぜ、シェルターは個室である必要があるのか?」
といった基本的な疑問をお持ちの方は、ぜひ前々回も合わせてお読みいただきたい。
先日、筆者は「あわやハウス」を見学させていただく機会を得た。今回は、施設の詳細をレポートする。
Photo by Yoshiko Miwa
「あわやハウス」は、西武新宿線のとある駅から徒歩2分の場所に位置する。一車線の道路に面して昭和30年代~40年代に建ったと思われる社宅・企業の寮などが立ち並ぶ一角を抜け、古い木造家屋が目立つ一角にさしかかったところに、周辺の風景に自然に馴染んだ鉄筋コンクリート3階建ての古いビルがある。ビルは、築50年ということだ。その3Fの全室が「あわやハウス」の施設となっている。7名の利用者を受け入れることの可能な7つの個室シェルター(うち2名分は、雑誌「ビッグイシュー」の販売者が使用)、管理人の居室、会議やちょっとした倉庫代わりに用いられている区画が、薄暗い廊下を挟んで向かい合っている。
案内してくれた稲葉氏は、
「今、利用者さんのいない部屋は、ここだけなんですよ」
と言いながら、2Kの一室に筆者を案内した。
Photo by Y.M.
玄関から中に入ると、6畳以上はありそうなキッチンがあり、そのダイニングキッチンからトイレ・浴室・2つの居室にアクセスできるようになっている。居室のそれぞれには、鍵がかかるようになっている。
筆者は、台所に冷蔵庫・炊飯器がないことに違和感を覚えつつも、案内されるままに居室に入った。居室の各室には、寝具・テーブル・食器、さらに炊飯器と小さな冷蔵庫があった。
「炊飯器と冷蔵庫は、各個人それぞれに用意しているんです。食べ物の恨みは恐ろしいですから」
と、稲葉氏は苦笑する。なお、電気掃除機は共同で1台を使用しているということであった。
古くくたびれた感じの建物ではあるけれども、室内は清潔に整えられ、なかなか居心地がよさそうだ。