しかし、グローバル経営者の目線でいえば、「置かれたルールから自由になる」という一段階上のゴールを設定することが当たり前となります。すると「日本の法制度から逃れる」という選択肢が当たり前のように浮かび上がります。

 では、日本の法制度からどう逃れるか。ゴーン氏の場合、フランス、レバノン、ブラジルの3カ国が母国として逃亡先の候補になるわけですが、「手段として考えると、レバノンへの逃亡が一番自由になれる可能性が高い」という考えが、今回の逃走劇につながったことが見えてくるわけです。

日本人の想像を超える
グローバル経営者の突破力

 それにしても、楽器の箱に隠れてプライベートジェットで脱出するというのは、日本人経営者には思いもつかないやり方に思えます。しかし、グローバル経営者は「突破力」という点で、日本人の想像を超える存在です。

 私の好きなグローバル経営者に関するエピソードを、2つ紹介します。1つはオラクルの創業者、ラリー・エリソン氏の創業時のエピソードです。借りたばかりの手狭なオフィスで隣の部屋のサーバーにLANケーブルを通さなければいけないのに、古いオフィスなので他の部屋へケーブルをわたせる床下配線などの配線ルートが見当たらない、ということがあったそうです。

 同僚が「どうやって隣の部屋までケーブルを通そうか?」と考えながらふと足元を見ると、エリソン氏がプラスドライバーで壁を掘って穴を開けていたそうです。突破力という観点では、エリソン氏は創業時から頭ひとつ抜けていたという話です。

 同じIT業界でEDSを創業し、アメリカ大統領選にも出馬したロス・ペロー氏は、CEO時代の1979年、イラン革命でイラン在住のアメリカ人現地社員が投獄され、実質的に人質にとられるという事態に陥りました。