森社長によれば、他にも竜応台、馬伯庸などの作品は、日本でもかなり売れているという。また、香港のミステリー作家、陳浩基の『13・67』と『ディオゲネス変奏曲』は日本でもベストセラーとなっている。

「今の中国では優秀な作品と作家は決して不足していない。しかし、作品や作家をどのように日本の読者に紹介するかは工夫が必要だ。中国作品が世界で受け入れられていくためには、出版業界の努力だけでは不十分。作者と作品のさらなる国際化により、海外読者を満足させることを考える必要があるだろう」という。

中国で1200万部を
売る日本の小説も

 一方で、日本人作家による書籍の中国での人気は高まっている。

 かつては黒柳徹子の『窓ぎわのトットちゃん』、太宰治の『走れメロス』、さらに村上春樹は一世を風靡した。

 また、最近では東野圭吾の『ナミヤ雑貨店の奇蹟』が1200万部を販売するなど、日本の書籍の中国での影響力は非常に大きい。

 森社長によると、「日本書籍の海外出版権の最大市場は中国。中国人読者のニーズは年々多様化し、今では日本の実用書、ビジネス書、文学、ミステリーなど幅広く受け入れられている」という。

 とはいえ、中国市場への参入には注意すべき点が2つある。

 1つ目は、中国の市場ニーズが台湾や韓国と異なる点。「日本で人気の作品は台湾や韓国では売れるが、中国では売れないことが多々ある」(森社長)。

 2つ目は、出版権の売り先の見極めだ。「中国の出版社の数は国営と民営を合わせ、何万社とも言われており、適切な売り先を見出すことが重要」(同)。

 いずれにせよ、日中の出版業界の交流が深まる中、両国の市場で、『三体』や『ナミヤ雑貨店の奇蹟』に次ぐようなベストセラーが今後もでてくることだろう。

※『東方新報』は、1995年に日本で創刊された日本語と中国語の新聞です。