「交代はかねてから思っていて、ああ、今日なんだという感じ」――。1月10日の社長交代を発表した記者会見で、交代の理由や心境を聞かれても、ぶっきらぼうな回答に終始したのは、小売の巨人・イオングループを率いる岡田元也社長である。3月1日付で代表権のある会長となり、後任にはディベロッパー事業担当の吉田昭夫副社長が就く。岡田社長は長男である尚也氏への将来的な世襲について含みを持たせたが、吉田新社長を待ち受ける総合スーパー事業の立て直しと、デジタル戦略の再構築という課題は、決して容易ではない。(ダイヤモンド編集部 岡田 悟)
退任の理由や心境について多くを語らず
難航した岡田社長の後継者選び
「特にないです」――。
国内最大手の流通の巨人・イオン。23年ぶりとなる社長交代を発表した記者会見の冒頭、司会者から発言を求められた岡田元也社長は、こんな素っ気ないコメントで挨拶を始めた。
岡田社長らしいジョークの一環なのだろうが、質疑応答では記者の質問にまともに答えない場面も見られるなど終始不機嫌。終了後は社長交代会見でお決まりのフォトセッションすらなく、後任に決まった吉田昭夫副社長とともにそそくさと会場を後にした。最前列で2人が握手する写真を狙っていた報道各社のカメラマンからは「えー」「嘘だろう」といった驚きの声が漏れた。