本番は、本番に慣れる練習

 大会はプロゲーマーにとっての本番です。そこには練習だけでは味わえないプレッシャーがあります。
 試合では持っている実力を、わずかな時間で表現しなければなりません。相当の時間を費やしてきた努力を、わずか数分でジャッジされてしまう状況で、持っている力を出し切るにはどうするか。そういったことを学ぶのに、実際の現場ほど適した場所はありません。「習うより慣れろ」の最たるものです。また、大会に多く出場し、本番の切迫した場面をイメージしやすくなるからこそ、緊張感のある練習ができるわけです。
 人間は慣れる生き物です。大会慣れしていないうちは、持っている力を出せないこともあるでしょう。入れ込みすぎて硬くなったり、集中できないといったことも起こります。しかし失敗しても正面からそれを受け止め経験していくと、少しずつこなせるようになっていく。本番に耐えるだけの精神の筋肉がつくわけです。

 実力を問われる場で失敗するのは、最初は辛いことかもしれません。しかしやってみなければ成功も得られない。普段の練習とは異なる場に立つからこその学びがあるのです。

※カプコンプロツアー:「ストリートファイターシリーズ」を販売するカプコン社が主催する一連の大会。毎年3月~12月の期間中に行われ、世界最大の格闘ゲームの大会EVOも、このツアーに含まれる。ツアーの終盤、12月には、プロツアー上位32人による「カプコンカップ」が行われる。