みんなが良いというものは、
すでに「良いもの」ではない

未知の良さを作り出すことが何より大切だという点については、きっと同意してもらえると思います。でも、1つ問題があります。

「未知の良さ」は、ユーザーもその良さをうまく理解できませんし、表現することもできません。

いわば、「未知の良さ」はまだ万人が客観的に良いと認めるものではないということです。逆に言えば、ユーザーが皆「良い」と認めるものは、すべて既知の良さに属しています。

既知の良さは誰からも理解してもらえるからこそ、ついつい頼りたくなってしまうものです。しかし、既知の良さに頼っている限り、無限のリソースが必要になり、結果として「良いもの」は作れなくなってしまいます。客観的で誰もが認める「良さ」を追求した結果、「良いもの」が生まれなくなってしまうという逆説的な現象が起こってしまうんです。

一方、未知の良さは「間違いなくそれは良いものだ」と直感的に理解することはできません。だからこそものづくりの旅は険しさを増し、常に不安にさいなまれることでしょう。
しかし、その旅をなし終えた者にしか、世界を変えてしまうほどの「良いもの」を生み出すことはできないのです。

ではどうやってまだ知られていない良いものを探し出せばいいのでしょうか。
次回は「コンセプトの探し方」についてご説明します。


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