老朽化マンション写真はイメージです Photo:PIXTA

老朽化マンションの建て替えや敷地売却などを行う「マンションの終活」が注目を集めつつある。わが国に分譲マンションが誕生してから今年で67年にすぎない。建築の専門家によれば、きちんと施工され、管理も適切にされているマンションであれば100年はもつといわれている。にもかかわらず、国土交通省が公表しているデータでは、2019年4月現在において、すでに約270件のマンションが建て替えられている状況だ。なぜこれほど多くのマンションが建て替えられているのか。そして、マンションの終活を進める上で、どのような課題があるのか。(旭化成不動産レジデンス マンション建替え研究所副所長 大木祐悟)

今年7月に竣工予定の
日本初の分譲マンション

 わが国最初の分譲マンションは、1953年に分譲された宮益坂ビルディングといわれている。宮益坂ビルディングは、渋谷駅至近に位置し、店舗(1階)、事務所(2~4階)、住宅(5階~10階)で構成された複合用途型のマンション。

 分譲時は「天国の100万円マンション」などと呼ばれるほど、当時としては最先端のマンションだった。また、同マンションにはエレベーターが2基あり、当初はエレベーターガールが操作をしていたそうである。

 この宮益坂ビルディングはすでに2017年(築後64年)に解体され、今年7月の竣工に向けて建て替えの工事が進められている。