これまで紹介してきように、コペルニクは、様々な途上国の最貧困層の人々が多く住む遠隔地や農村部に、エネルギーの問題を解決するものとしてのソーラー・ライト、きれいな水へのアクセスの問題を解決する浄水器、調理と室内空気汚染の問題を解決する調理用コンロなど、現地の生活に密着したテクノロジーを導入してきた。残念ながら日本発のものはまだまだ少ないが、今年に入ってから多くの日本企業が途上国進出に本腰を入れてきたように感じる。

 そこで今回は、途上国の可能性に挑む日本企業が抱える課題、そして今後の展望について書いてみたい。

途上国ビジネスに
本腰を入れ始めた日本企業

 第3回でも書いたように、僕は日本企業の持つ「創造性の高さ」に鍵があり、これをいかんなく発揮し、途上国の貧困層のニーズ、生活習慣、文化にマッチする“シンプルなモノづくり”を追求すれば、途上国でも大いに活路が見いだせると思っている。

 実際、途上国市場における日本企業の可能性については、もう机上の空論ではなくなっている。数年前までは、欧米の学者が書いた総論や、シンクタンクが2次・3次情報をまとめた報告書を読んで、途上国とはこういうものかという理解をすることで精いっぱいの様子であったが、ここ最近では具体的にターゲットの国を決め、何度か現地にも調査に行き、具体的な途上国ビジネスの絵を描き始めようとしている日本企業が増えている。しかも、都市部ではなく、農村部を狙っている企業も多い。

 例えば、衛生プロダクトを途上国に拡大することを目指し、東南アジアをターゲットに市場調査を開始しているメーカー。また、ある教育関連企業は、グローバル展開の一環として、アジアでのビジネスを模索している。さらに別の企業は、途上国向けのエネルギー関連商品のパイロット版をデザイン・製造し、アジアでの市場開発に向けた試験導入を行なっている。

 これは、日本企業の途上国ビジネスが下準備の段階を終え、実地調査フェーズに移ったといえる。また、JICAやJETROなどの政府機関も支援メニューを用意し、財政面と情報面で企業の支援を開始。日本企業による途上国市場の理解は、相当上がってきたように感じる。

調査もままならない?
現地で直面する様々な課題

 しかし、現地での市場調査に乗り出した日本企業は、その過程で様々な課題にも直面している。特に、都市部とは全く勝手が違う農村部での調査は、非常にハードルが高いようだ。

 まず、交通の便が悪いため、調査場所に行くまでに時間がかかる。ようやく辿り着いたとしても、電気が通っていないところも多い。また、開発援助機関やNGOなど、日本では見たことのないプレーヤーも存在する。