「見えない戦争」が、世界のそこかしこで起きている。もはや日本に成す術はないのか(写真はイメージです) Photo:PIXTA

トランプ、習近平、文在寅、金正恩――。一国・大国主義や過激な主張外交を展開する為政者がポピュリズムに乗じて勢いを増す中、戦火を交えるわけではない「見えない戦争」が、世界のそこかしこで起きている。日本外交の最重要課題の交渉に携わってきた外務省きっての戦略家・田中 均氏の新著『見えない戦争(インビジブルウォー)』(中公新書ラクレ)から、世界に静かに迫りくる「有事」に対処するための“正確な眼"とメソッドを伝授する。(日本総合研究所 国際戦略研究所 理事長 田中 均)

トランプ大統領の登場と
“見えない戦争”の進行

 一国・大国主義(トランプ、習近平)、過激な主張外交(金正恩、文在寅)がポピュリズムに乗じて勢いを増す中、国内の趨勢が国際関係に飛び火し、いつ火花を散らす紛争に変わってもおかしくない“見えない戦争”が、世界のそこかしこで起きている。

 ドナルド・トランプは、間違いなく“見えない戦争”の時代の主役だ。むしろ彼の登場こそ“見えない戦争”の象徴であり、先が見えない時代の幕開けだったと言っても過言ではないだろう。

「アメリカ・ファースト」を唱え、移民などへの高圧的かつ傲慢な発言を繰り返し、「世界のためにアメリカが負担を続けるのはもうごめんだ」「アメリカの金はアメリカのために使う。アメリカの兵はアメリカのためだけに戦う」と一部の支持者に向けた発言をし、彼らが喜ぶようなツイートをおこなう。トランプは国民の不満を巧みに利用したパフォーマンスを繰り広げ、支持率が不気味なほど安定している。