韓国、北朝鮮、ロシア、さらにはブレグジットの行方が不透明なヨーロッパ、中東、アフリカ……すべての国々と良好な関係をつくりながら、日本としてのアイデンティティを世界に示していくのは、もちろん決して簡単なことではない。だが、それを実現する“新しい絵”を描けなければ、日本はどんどん沈んでいき、20世紀の後半に輝いた“元・先進国”ということになりかねない。

 1945年に無条件降伏をしてから、二十数年で世界第2位の経済大国になったことは奇跡だと言える。それだけのことをやり遂げた日本人は、極めて稀有な資質を持っている。条件さえ整えば、日本はまことにダイナミックな国になり、世界に範を示すことができるはずだと私は信じている。

前例に囚われず孤立を恐れない
「尖った人間」が必要に

 今の日本に必要なのは、単に優秀なだけでなく、尖った人間だ。前例に従わず、孤立することも恐れない、個としての強さを持った人間。明治維新のときに活躍した人たちはみんな尖った人間だった。ところが、いつの間にか日本には「みんなで渡れば怖くない」といった平均主義、前例主義がはびこり、尖った人間が出ると、それを抑えようとするようになってしまった。それでは未来は生まれない。尖った人間を積極的につくらない限り、日本人の資質を復活させることはできないのではないだろうか。

 私自身、外務省時代にさまざまな仕事を手がけたが、「みんなで渡ろう」と思ったことは1回もなかった。外務省や政治家から見れば、扱いにくい官僚だったかもしれない。でも、だからこそ成し遂げられたこと、得られた結果は少なくなかったのではないかと思う。

 今、世界で日本人が活躍している分野はスポーツだ。メジャーリーグでは引退したイチロー選手が「世界最高の打者」と呼ばれ、今また大谷翔平選手がスターの道を進んでいる。テニスでは錦織圭選手や大坂なおみ選手がトッププレーヤーとして活躍し、本場ヨーロッパのサッカーリーグにも多くの日本人が在籍している。