彼らのインタビューなどを見る限り、彼らは類稀なる個人主義者だ。だからこそ世界の舞台でも恐れることなく、自分の力を発揮することができる。最近の例では、ゴルフで全英オープンを制した渋野日向子選手だ。結果を恐れず、リスクを承知で世界に挑み、そして世界に出て、競争をすることでさらに自分を高める。スポーツ界以外でもこういう人材がどんどん出てきてほしい。
 
 私は、2006年から12年間、東京大学の公共政策大学院で教鞭をとってきた。最初の5年間は日本語で授業をし、あとの7年間は英語での授業。学生は日本人と外国人が半々だったが、積極的に議論して、授業のなかでも建設的な形で議論をしようという意図、意欲を持った日本人はかなり少なかった。中国や韓国からの留学生が積極的に発言するなかで、日本人学生はおとなしくしていたのが印象に残っている。

教育を変え、若者を変え、未来を変えよ
「見えない戦争」に生き残れるか

 未来を変えるには、若者を変えなければならない。若者を変えるには教育を変えなければならない。教育を変えるには、社会が変わらなければならない。

 私は、日本の教育システム自体を見直すべき時期に来ていると思う。日本が競争力を持つ国になるためには、若者を外で勉強させる。海外から人を入れて日本の国内で日本人と競争させる。そういったことをシステムとして取り入れていかないと、なかなか変わっていかないだろう。

 誰もが薄々感じているだろうが、今この国は危機に瀕している。いたずらに煽る気はないが、企業も政治も経済もいつ破綻・瓦解してもおかしくないような状況だと言っていいだろう。これまで日本を守ってきてくれたアメリカも、自国のことで手一杯。10メートル先にあると思っていた落とし穴が、実はすぐ目の前にあるということも考えておくべきだ。

“見えない戦争”を生き抜くためには、危機感を持って、個を磨いていくしかない。周りがどうするか、どう生きるかを見ている場合ではない。自分で判断し、自分の力で前に進むという意識が大切だ。1人ひとりがプロフェッショナルとして個を磨いていけば、日本全体の力が底上げされることになる。それができれば、今この国を覆う漠然とした閉塞感も消えるだろう。

 繰り返しになるが、日本人には世界が羨むだけの能力がある。日本人が、日本人であることを誇りに思える時代が長く続くことを願ってやまない。