テストの点で測れない「非認知能力」=「考える力」「やり抜く力」「折れない心」の土台は、親が子どもの話を聞くことから作られる! 『自己肯定感で子どもが伸びる12歳からの心と脳の育て方』の著者で、30年以上臨床の場で多くの親子を見続けている医師が断言します。本連載では、子どもの脳を傷つけないで「あと伸びする子」に育てるためのノウハウを、著者が接してきた実例とともに紹介していきます。子どもへの接し方に悩むすべての大人、必読!

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謙虚を美徳とする日本社会が、子どもの脳を傷つけている!?

 子どもが「自己肯定感」をもてるかどうかは、大人のちょっとしたかかわり方で変わってきます。

 子どもがピアノを習っていたとしましょう。練習しても上達せず、先に進まないと、子どもは「うまく弾けない」「どうせ自分はダメだ」と思うかもしれません。そのようなときに、「もっとがんばれ」「次のレッスンではきっと弾けるよ」などと励ましても、「自己肯定感」は育まれません。まずは現在できていることを認める必要があります。

 たとえば、1回練習したらシール1枚、シールが5枚たまれば次に進むという約束をしてみましょう。子どもは1枚でもシールがもらえると、「練習したことは認められた、少し先に進んだ」と実感することができます。シールが5枚たまれば、うまいへたに関係なく次の曲に進みます。そういうことが、子どもの「自己肯定感」を育むことになり、続けるモチベーションになります。上達方法としては正しくないという考え方もあるかもしれませんが、子どもの「自己肯定感」を保つには、あり得る方法です。
子どもが「自己肯定感」をもてる働きかけは、子どもの脳の発育にとって非常に重要なことです。日本の親は概して、子どもに愛情をもっているにもかかわらず、残念ながら子どもへの働きかけがうまくありません。これには謙虚を美徳とする日本社会の、負の側面が作用しているのではないかと感じています。

 本連載が子育てに悩む親御さんや、教師、保育士、保健師、心理士など子どもにかかわる方々に何らかのヒントになり、そのことで、日本の子どもたちの「自己肯定感」を育むことができればと願っています。

(次回へ続く)