テストの点で測れない「非認知能力」=「考える力」「やり抜く力」「折れない心」の土台は、親が子どもの話を聞くことから作られる! 『自己肯定感で子どもが伸びる12歳からの心と脳の育て方』の著者で、30年以上臨床の場で多くの親子を見続けている医師が断言します。本連載では、子どもの脳を傷つけないで「あと伸びする子」に育てるためのノウハウを、著者が接してきた実例とともに紹介していきます。子どもへの接し方に悩むすべての大人、必読!

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赤ちゃんの「自己肯定感」は100点満点! 生きていくために最高からスタート

 私は小児科医であり、これまで30年以上、おもに子どものメンタルヘルスの臨床を行ってきました。同時に小児神経専門医として、子どもの疾患や症状、状態を、「脳科学」という視点で考えてきました。その経験から、うつや愛着障害が「自己肯定感」の低さと強く関係することもわかってきました。

 人は、生まれたときは誰も「自己肯定感」に問題はありません。もし赤ちゃんが自分自身で評価することができれば、「自己肯定感」は100点満点、すなわち、自分が生きていくために最高からのスタートになるということです。ところが、外部からの刺激が多すぎたり、親子の関係が緊張していたりすると、脳が育まれず「自己肯定感」も低下していきます。「自己肯定感」を感じるのは本人自身ですので、赤ちゃんのころに脳が適切に育まれていなければ、本人が自覚できる4、5歳ごろにはすでに「自己肯定感」が低いということになります。

 脳が適切に育まれていても、思春期になると、自分の限界を感じて「自己肯定感」が若干低くなります。それでも自分のアイデンティティを保つことができれば、ある程度キープできると推測でき、実際に海外ではその傾向があります。しかし前著『日本の子どもの自尊感情はなぜ低いのか』(光文社新書)にも書きましたが、こと日本の子どもの場合は、10歳以降、思春期・青年期にかけて、「自己肯定感」が低い状態がずっと続きます。その一方で、ごくまれに「自己肯定感」が異常に高い子に出会うこともあります。「自己肯定感」は低いのも高すぎるのも問題があり、程よく育まれるのが理想です。日本では中学生という時期が非常に難しい状況にあるため、中学入学前の12歳という年齢が、「自己肯定感」を見直す大事な節目だと考えています。もちろん13歳以降に「自己肯定感」が育めないという意味ではありませんが、より難しくなるのは事実でしょう。

(次回へ続く)