人口減少日本が目指す「生産性の向上」が、口で言うほど簡単ではない理由「生産性の向上」が日本のスローガンのようになっているが、口で言うほど簡単なものではない Photo:PIXTA

生産性向上という新スローガン
間違いではないが使えない

 所得倍増、円高阻止、デフレ脱却、など日本人はスローガンが大好きだ。今の流行は「生産性向上」ではないか。少子高齢化が進み、人口が減少トレンドに入っていることから、経済成長のためには生産性を高めるしかない、という主張だ。

 GDPは1人当たりGDPに人口を乗じたもの(GDP=人口×1人当たりGDP)であるから、1人当たりGDPを生産性と考えれば、経済成長率は人口の伸び率に生産性の伸び率を足したもの(経済成長率≒人口の伸び率+生産性の伸び率)となる。人口の伸び率がマイナスなのだから、経済成長率をプラスにするには、生産性の伸び率が人口の減少率以上に高まっていなければならない。

 生産性向上というスローガンは、理屈の上では正しいのだが、あまり役に立つものではない。まず、この考え方に従って、過去の経済成長を振り返ってみよう。人口の増減が経済成長率に与える貢献は+1%台~-0%台と小幅であり、成長率の水準を決めているのは、ほとんど生産性の伸び率ということがわかる。つまり、人口が増えていようが減っていようが、経済成長率を高めるためには、生産性を高めなければいけないというわけだ。

 やはり生産性を高めることが大事ではないかとなるが、生産性を高めることができるのは、モノやサービスを欲しがっている需要がたっぷりあるときだ。高度成長期はまさしくそういう時代であり、生産性の伸びが高かった。