残業時間削減だけでは
「成果の総量」は増えない
「生産性上昇」を図るために、「働き方改革」を進める。これはよく聞かれる説明だが、なぜそうなるのか。人によっては意味もわからないのに、聞き心地の良い言葉をくっつけて都合よく話をしている気がする。
政府が働き方改革として推進するのは、年次有給休暇を5日以上取得して、残業時間も削減しようというものだ。これは現実には規制強化である。
残業時間が減ると、仕事量が一定であれば時間当たりの効率は高まる、ということで、生産性が上がるということなのだろうか。
だが、それでは、見かけ上、生産性が上がったように思えても成果の総量は増えない。だから、賃金は増えない。働き手には何もメリットはないということになる。
また、残業時間が減ると、生活の質が上がることが働き方改革のメリットという人もいる。しかし生活の質が上がることは、生産性上昇と何の関係があるのか。議論はいよいよ曖昧になっていく。
なぜこういう議論が横行するのかといえば、働き方改革が生産性上昇に結びつくまでのリンケージが途切れているからだ。