JOC(日本オリンピック委員会)の山下泰裕会長が1月10日、IOC(国際オリンピック委員会)の委員に承認された。竹田恒和前JOC会長が委員を辞して以来、渡辺守成氏(国際体操連盟会長)ただ1人になっていた日本人委員が2人に戻った。
「これで7月に開幕する東京オリンピック2020に向けてIOCとのパイプが強くなった」と歓迎する報道が大勢だ。が、スムーズに見えた承認過程の水面下で、不穏な動きが起こっていた。
山下氏の「IOC委員就任阻止」を
目的とする怪文書がマスコミ各社に
『週刊新潮』1月23日号によれば、山下泰裕会長がIOC委員に就任する3週間ほど前、奇妙な封書がマスコミ各社の「五輪担当記者」宛てに送られた。封書の中には5枚のペーパー。1枚が日本語の説明文、4枚が英文だったという。『週刊新潮』はこう書いている。
「その英文には、山下会長の資質について厳しい言葉が綴られていた。和訳したものを一部紹介すると、<私たちがこのレターを書く目的は(中略)IOCが彼の推薦を承認するのを防ぐことにあります>」
新聞・通信・放送など記者有志で作るグループを名乗る差出人は、はっきりとその目的を「山下氏のIOC委員就任阻止」と明記している。
理由の1つに、JOC会長就任後、理事会を非公開にしたことを挙げ、
<山下氏がIOC委員に任命されれば、日本のメディアの怒りにさらに多くの油を注ぐことになります>
と書いている。また、
<政治家の命令に決してNOと言えない「操り人形」>
<外国語をほとんど理解できず、彼のスピーキング能力も極めて低い>
などと、痛烈に批判している。
こうした動きが耳に入っているからだろうか、当の山下泰裕氏自身はIOC委員に選ばれた後、語学力のない自分が本当にふさわしいのか、といった気弱なコメントを発している。