2万人をみてきた組織開発コンサルタント・勅使川原真衣氏の著書『組織の違和感 結局、リーダーは何を変えればいいのか?』が刊行。坂井風太氏も「革新性がある」と絶賛した同書の内容を、抜粋・再構成して特別公開する。

組織の違和感Photo: Adobe Stock

ひとりが頑張ることの限界

 今、「優秀なひとり」が上意下達で牽引できるほど、社会はのんびりしていられなくなりました。

 働き盛りになり40代、部下も増え、自分ももちろん忙しい。

 飽和した市場でどうやって創造性を確保していけばよいか、濁流のようにうねる社会において、不確定要素は尽きません。

「これからは、協働の時代」そう言われたとしても、どう実践したらいいかは教えてもらえず、「優秀なひとり」に頼ろうとすればたちまち立ち行かなくなるでしょう。

「正しさの押し付け合い」に答えはない

 私もコンサル時代、ぎりぎりの状態で働いていました。

 人が話し終わるコンマ5秒前ぐらいに「ってことですよね」と言う。そんなせっかちなコミュニケーションが普通でした。

 始発から終電を過ぎるまでの激務で、メンバーと目も合わせない上司。つねに競争を意識している同僚。言いたいことも言えない自分。

 違和感を覚えつつも、それを評価し、平気で活躍している人もいる中で、弱音は吐けませんでした。

 そこには、共につくるのではなく、自分の世界の「正しさ」を押しつけ合う世界がありました。

存在の承認を基盤にした仕組み化

 小さな違和感にいちいち反応したくはない。しかしそこを避けると、いつまで経っても組織は良くならず、問題の表層をなぞるのに終始するのがオチです。

 そこで、考え方を変える必要があります。

 誰かが「正しくない」から問題が起きているのではなく、人によって「正しさ」が異なることを理解し合った意思疎通がおざなりにされているから起きている。

 その真因を放置しているから組織が良い方向に変わっていかないし、働く人もないがしろにされてつらいのです。

 それぞれが「正しさ」を生きている。その双方の「正義」に橋をかけるようなやりとりはいかにすれば可能なのか?

 ひいては、徒労感に苛まれ、働くことへの希望が持てない状況をいかに超えていくか?

 誰の口も塞がない・存在の承認を基盤にした仕組み化が、兎にも角にも必要です。