こうしてタイムレースが始まった。まだ学校しか知らない子どもたちがこうして人生初めての冒険を始めた。ところで、まもなく車内に熱を出した人がおり、新型コロナウイルスに感染した可能性があることがわかった。

 紹興にいた42人の学生の親たちも、この恐ろしいニュースをすぐに知った。彼らは直ちに運転手と通話し、寝台を調整して、その熱のある男子学生を最後列の下の階に配置するように求めた。車内の全員もマスクをつけるようにした。

 途中、 防疫当局が高速道路のサービスエリアで車を止め、熱のある人がいないかチェックしていたが、機転を利かせた保護者は、熱を出した男子学生をスーツケースなどの荷物を入れる空間に移すよう、すぐに運転手に電話で指示した。こうして防疫当局のチェックをごまかし、バスは検査関門を通って、再び高速道路に出た。

新型肺炎に感染した子の親も
手厚い医療保護に喜んだ

 このあまりにもスリリングな脱出行に、学生たちは興奮した。ある女子中学生は、中国版SNSのWeChatでその脱出行の詳細を担任教師と話していた。担任教師はことの重大さに気づき、すぐに校長に報告した。

 度肝を抜かれた校長は、直ちに区教育委員会に報告した。間もなくこの情報は、区政府と区衛生健康委員会に報告された。びっくり仰天した区政府と区衛生健康委員会は、間を置かずに警察の出動を手配し、緊急対策に乗り出した。こうして、冒頭の高速道路出口での一幕が演じられたのだ。

 結果、発熱した17歳の男の子はすぐに救急車で病院へ運ばれた。 残りの人員は車両とともに指定の病院へ向かい、14日間の隔離観察を受けなければならなくなった。保護者の親たちもこの措置に納得して、むしろ武漢を脱出できて、手厚い医療保護を受けられることを喜んだ。