黒田総裁は ダボス会議直前に行われた日銀政策決定会合後の記者会見(1月21日)で、「国内需要は、足元では消費税率引き上げや自然災害などから減少している」としながら、金融緩和が続き、また政府の経済対策もあって「(需要は)増加基調をたどる」としている。

 消費動向についても、消費税率引き上げで駆け込みの反動減などの影響があることは認識しているとしながら、雇用者所得の増加や消費者マインドの持ち直し、新年の売り上げなど、「全体で見ると、消費の減少は一時的で、個人消費の増加基調は維持されている」と述べている。

 ダボス会議での「台風被害」発言も、この時と同じ認識を述べたのだろうと思われる。だが、筆者には消費増税の影響をことさら軽微に見ようとしているように感じられる。

過去も消費増税で
景気は悪化した

 これまでの消費増税でも財務省は増税の影響を軽微にみたて、結果、景気を失速させてきた歴史がある。財務省出身の黒田総裁には、そうした「財務省DNA」が残っているように思われる。

 これまで、消費増税は創設を含めて4回ある。1989年4月、1997年4月、2014年4月、2019年10月で、それぞれ3%、5%、8%、10%へと消費税率が引き上げられた。

 このうち、1989年4月の消費税導入は、それまでの個別物品税の廃止とともに行われたので、景気への悪影響はなかった。しかも当時は、バブル景気の最中だった。

 だがその後の消費増税は景気の悪いタイミングで行われたから、景気は悪化した。

 景気への影響は予想されたことだったが、財務省や一部のエコノミストは増税の影響を軽微とした。

 だが実際に景気が落ち込むと、苦し紛れのような説明に終始した。

 例えば、1997年4月以降の景気悪化は その年の夏のアジア通貨危機のためだと、財務省は説明し少なからずのエコノミストも同様の見方をした。