J.フロント リテイリングによるパルコへのTOB(株式公開買い付け)の期限である8月20日が近づく中、パルコの第2位株主であるイオンの動向に注目が集まっている。

 33.2%を保有する筆頭株主のJ.フロントは、発行済み株式の65%を上限にパルコ株を取得し、子会社化する構えだ。

 パルコ株の18.7%相当の新株予約権付き社債を保有する日本政策投資銀行はTOBに応じることを発表しており、J.フロントと政投銀の持ち分だけで約46%(株式転換による希薄化後)に上ることから「J.フロントがパルコ株の過半数を取得するのは確実」(津田和徳・大和証券アナリスト)。

イオンは2011年2月にパルコの第2位株主となったものの、いまだ成果は挙がっていない
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 イオンにとって、TOBに応じるのは悪い話ではない。イオンの保有割合は12.3%。パルコ株1株当たり約860円で取得しており、J.フロントの買い付け価格である1株1100円で売却すれば、約24億円の差益が出る。

 にもかかわらず、イオンの岡田元也社長は「(パルコ株を)全く売る気はない」と、TOBに応じない考えを明らかにしている。

 イオンは昨年、パルコの筆頭株主だった森トラストと連携してパルコ経営陣を刷新。その過程で、パルコとイオンは対立を強めた。しかし、森トラストは今年3月、保有するパルコ株すべてをJ.フロントに売却。それまでイオンとの提携協議に反発してきたパルコだが、J.フロントの傘下に入ることは歓迎した。これで、国内小売り最大手であるイオンのプライドは大きく傷つけられた。