「マヌケ」という言葉は、「バカ」と混同されがちだけど、「マヌケ」という言葉を使っていたら人間関係も仕事関係も良くなっていくし、マヌケであればあるほど運はたまっていくよ!
そんな、欽ちゃんのあったかい言葉が詰まった本『マヌケのすすめ』が、発売になりました。この連載では『マヌケのすすめ』から、とくに心に響く部分を抜粋して、萩本欽一さんの言葉を紹介していきます。(撮影/榊智朗)
マヌケであるという欠点は、もう最高の贈りものです
「誰にだって欠点はある」という言い方があるよね。
あの言葉は、マヌケにとってお守りみたいなものです。どんなにお勉強ができる子でも欠点がある。
マヌケにも欠点がある。
その点では互角なんですよ。
自分はダメだなあと思いそうになったときは、「誰にだって欠点はあるさ」って言葉を呟いてほしい。
欠点は「欠けてる点」って書くから、みんなそこを埋めなきゃいけないと考えてしまう。
でも、どう頑張っても誰にでもあるわけなんだから、なくしたいとかなくそうとか思わないほうがいい。
自分の一部なんだと受け入れることが大切です。
時々、持ち合わせている欠点について、たとえば「自分がおっちょこちょいなのは親から受け継いだんだ」と親を恨む人がいるけど、それは間違い。
親どころか、もっとずっと昔からの積み重ねで、ご先祖様からの贈りものなんですよ。
親に責任があるわけじゃないし、親だってそのまた親から受け継いでる。
欠点がどうして「贈りもの」なのって思ったかもしれないけど、ご先祖様はよかれと思って、子孫のためになると思って、欠点を与えてくれているんです。
「人生、つらいことがあるほうが面白いぞ」というメッセージだと受け止めなきゃいけない。
マヌケであるという欠点は、もう最高の贈りものです。
たくさん失敗したり、物事がうまくいかなかったりするのは、悲しいことじゃなくてそれを面白がりなさいと、ご先祖様は言ってくれている。
何の苦労もせずに勉強も仕事もうまくやれる人もいるけど、その人たちはむしろ運がない。
乗り越える喜びや楽しさは感じられないんだから。
欠点が多いことやマヌケであることは、こっちの受け止め方ひとつで「運」になるんです。
「おかげさまで楽しい人生を送らせてもらってます」とご先祖様に感謝すれば、マヌケに生まれた幸運を喜べる。
マヌケじゃない側は、能力とか実力とかはご先祖様から与えられたかもしれない。
マヌケな側はそれがない分、運はたっぷりあるはずです。
だからといって、競馬とか宝くじとか、そういうので運を使おうとしちゃダメ。
マヌケが 授かっている運は「人生をどんでん返しさせる大きな運」なの。
ご先祖様に「マヌケを受け継がせてくれてありがとう」って呼びかければ、「お前、いいことに気がついたね」なんて言いながら、ご先祖様たちが使っていない分の運もきっと使わせてくれるよ。
(本原稿は、萩本欽一著『マヌケのすすめ』からの抜粋です)
*撮影協力/駒澤大学