英国のEU離脱を機に、欧州がとるべき革新的な戦略を考える Photo:PIXTA

英国に厳しい交渉を示唆したEU
離脱の代償を知らしめる必要

 英国が1月31日に欧州連合(EU)から離脱した。保守党のジョンソン首相は「終わりでなく始まり」との声明を出し、英国の改革を進める意欲を示した。これから2020年末までとされる移行期間内に、EUとの調和的な貿易協定の締結を目指すことになる。

 これに対してEUの主要3機関(欧州理事会、欧州議会、欧州委員会)のトップは揃って会見を行い、英国に対して「加盟なくして恩恵なし」という原則に基づき、貿易協定の交渉において妥協しない考えを示した。EU側とすれば、欧州各国で反EU派の勢力が拡大する中、さらなるEU離脱国を出すわけにはいかない。EU側は英国との厳しい交渉を通じて、離脱の代償が安くないことを加盟27カ国に対して知らしめようとするはずだ。

 一方でEUの指導者は、加盟国に対してEUに留まるメリットを実感できる政策を打ち出せずにいる。EU首脳による会見と同日に発表されたユーロ圏の2019年10-12月期の経済成長率(速報値)では、フランスとイタリアが再びマイナス成長に転落した。これまでEUは債務問題や移民問題など後ろ向きの課題に追われ、域内の成長戦略に関しては欧州中央銀行(ECB)の金融緩和策に任せきりだった。そのツケが回ってきた格好だ。