西武の経営判断は妥当か?
としまえん閉園にファンがっくり
2月3日、西武グループが、東京都練馬区で運営する遊園地「としまえん」を段階的に閉鎖する方向で検討に入ったことが、明らかになりました。現在はまだ協議中であり、かつ交渉中ではありますが、跡地には2023年をめどに映画『ハリー・ポッター』のスタジオ型テーマパークが開業すると共に、敷地の大半は東京都が買い取って練馬城址公園として整備することになりそうだといわれています。
長い歴史のある遊園地が閉園するケースは、近年増加しています。首都圏でいえば、2002年に向ヶ丘遊園と横浜ドリームランドが閉園。2009年には自動車をテーマにした多摩テックが営業を終了しています。20年も前の話ではありますが、まだ自分の子どもが小さかった頃に一緒に遊びに行った場所が今はもうないと思うと、それなりに寂しい気持ちがするものです。
東京ディズニーリゾートと大阪USJの二大テーマパークが、毎年のように入場者数を増やし業績好調な半面で、昔ながらの地元密着型遊園地が生き残るのは難しくなっています。としまえんの場合も、ピーク時の1992年に年間の入場者数が390万人に達しましたが、2019年は112万人へと減少。少子高齢化のご時世をそのまま反映するように、この数字からは遊園地経営の厳しさが感じられます。
ただし、昨年のとしまえんは様々な施策の結果、対前年比で2割も来場者が増えたという事実があります。としまえんは広告戦略や企業とのコラボレーションが上手な会社としても知られており、しかも都心の遊園地としては比較的立地もいい。開業からもうすぐ100年ということで、首都圏の住民にとっては思い出も詰まっています。「なにも閉園にまで踏み込まなくてもよかったのではないか」という意見が出るのも、無理はありません。
とはいえ、経営コンサルタントの視点でとしまえんの面積の広さを考えると、この度の経営判断にはある程度の納得感があります。今回はそれについて述べてみます。
グーグルマップなどでとしまえんの大きさを調べてみると、改めてその敷地面積が広大であることがわかります。同じ縮尺で比べると、新宿副都心の高層ビルが立ち並ぶあたり一帯とほぼ同じ大きさ。つまり高層ビル群から都庁や都議会を加えた旧淀橋浄水場跡地の面積と同等の規模。それくらい広い敷地に遊園地とプール、隣接する映画館やスパなどがまとまっているのが、としまえんなのです。