オーバーエイジでの東京五輪参戦を野望として掲げる元日本代表のMF本田圭佑が、五輪イヤーに入って再び周囲を驚かせている。ブラジルの古豪ボタフォゴを新天地に選び、南米大陸へ向かう直前には自身が発起人となる形で新たな形態のサッカークラブOne Tokyoを創設。今春に開幕する東京都社会人サッカーリーグの一番下となる4部から船出させる。投資家や起業家を含めて、さまざまな顔を持つ33歳がたぎらせる情熱の源泉はどこにあるのだろうか。(ノンフィクションライター 藤江直人)
スペインを熱望しながらオランダへ
そして、ブラジルを新天地に選ぶ
世界最大のカーニバル開催を今月下旬に控えたブラジル南東部のメガシティ、リオデジャネイロがひと足早くヒートアップしている。この町を本拠地として19世紀末に創設された古豪、ボタフォゴへの加入が決まったMF本田圭佑の到着を、今かと待ち焦がれているからだ。
昨年11月に加入したオランダのフィテッセを、わずか48日間所属しただけで電撃的に退団。昨年末から再びフリーの状態になっていた本田は、名古屋グランパスから数えて8チーム目となる所属先として、オファーを受けていたボタフォゴ入りすることを先月31日に公表した。
ブラジル発の報道で、ボタフォゴが獲得に動いていることが明らかになったのが先月24日。おりしも自身が発起人となって立ち上げられたサッカークラブ、One Tokyoのトライアウトが行われた東京都調布市のアミノバイタルフィールドを、本田は視察のために訪れていた。
トライアウトの合間に取材へ応じた中で、当然ながらボタフォゴの件も質問としてあがる。取材に訪れていた海外メディアから、ボタフォゴ入りする可能性の有無を直撃された本田は「まだ何も決めていない」と前置きした上で、描いているビジョンを英語で説明している。
「ボタフォゴから代理人を務める僕の兄にコンタクトがあったことは知っているが、今は数多くのクラブと話をしている最中であり、以前から話しているように、僕自身はヨーロッパでプレーしたいと望んでいる。偉大なクラブのひとつであるボタフォゴが興味を持ってくれたことは非常に嬉しいが、しっかりと考えて結論を出したいので、現時点でイエスかノーかは言えません」
今夏の東京五輪へオーバーエイジ枠で参戦して金メダル獲得に貢献したい、という野望をぶち上げている本田は、昨年5月にオーストラリアのメルボルン・ビクトリーを退団。森保一監督へアピールするためにも、レベルの高いヨーロッパへ新天地を求めるプランを公言していた。