待望の新刊、『OPENNESS  職場の「空気」が結果を決める』が発売5日目に重版し、3万部を突破。著作の合計部数も30万部を超えた北野唯我氏。いま、人材マーケット最注目の論客であり、実務家だ。
その北野氏が、今回選んだテーマは、「組織」。「ウチの会社、何かがおかしい?」という誰もが一度は抱いたことがある疑問を科学的、構造的に分析し、鮮やかに答えを出している。
なぜ、あなたの職場は今日も息苦しいのか。具体的に、何をすれば「オープネスが高い」組織がつくれるのか。明日、少しでも楽しく出社するために、一人ひとりができることは何か。本連載では、これらの疑問について、独自の理論とデータから解説する。

転職してすぐ成果を出せる人、出せない人の決定的な差Photo: Adobe Stock

最初の3ヵ月は「ギブ」に徹する

 日々スタートアップの取締役として、多くの企業の方とお会いしますが、転職が当たり前になればなるほど、ビジネスパーソンが「転職先でうまくやる技術」が必要とされていると感じます。

 かつては新卒一括採用で、入社すれば研修があったし、「新人」として扱ってもらえました。しかし転職が当たり前になるにつれて、「即戦力だから、成果を出して当たり前」という考え方が常識となりつつあります。
 私は、それは本当だろうか? と思います。言い換えれば、「中途社員だから即戦力」というのは本当なのだろうか? と。私自身が実際、20代で転職を二回経験しているからこそ、働く側にも、受け入れる側にも大事にすべきポイントがある、と感じます。

 では転職者の立場として、どんなことに気を付ければいいのでしょうか?

 最も大切なのは「先にギブする精神」です。具体的には、最初の3ヵ月。とにかく全力を尽くして、どんなことでもいいので結果を出すことだと思います。「最初の1年」とか「最初の半年」ではなく、「3ヵ月」であるところが重要です。

 なぜ最初の3ヵ月かというと、それはあなたにとっての「ボーナス期間」だからです。ボーナス期間のメリットは

・「転職してきた人=半分外の人」として扱ってもらえる
・皆が注目しているので、結果を出すと目立てる
・雑務が少ない

です。

 私も、前職のコンサルティングファームから、現在のスタートアップへ転職した際も、まず1週間目に高い成果を意識しました。当時、私はメディアを統括していたのですが、自分の経験をもとに「他の人には絶対かけないテーマの記事」を書くことで、入社して1週間で過去最高のトラフィックを出しました。これは私の能力というよりも、「1週間で成果を出す」という執着による側面が大きかったように思います。