上司と「何を達成するか」を決める
一方で、転職者が最初の3ヵ月で成果を出すには、もちろん企業側、上司側のサポートも大事です。前回の記事でも述べましたが、前職で十分に成果を出していた人が、転職先でつまずくケースのほとんどは、次の2つのうち、どちらかです。
1つは「前の会社では、文脈をよく知っていたから活躍できた」。
もう1つは「今の会社では、言語化されていない“独特の文脈”が多すぎるため、彼ら(非言語理解能力が低い人)には、何がダメで、何がいいのかがわからない」。
上司の側も、こうした事態を防ぐために行動する必要があります。私も、自分のチームに転職者が入社するとすぐに1on1でミーティングをして、「3ヵ月で何を達成するか」を話し合います(もし、上司の側からのサポートがなかったとしても、転職者のあなたから切り出して、ぜひミーティングをしてみてください)。
ここで重要なのは、目標設定の際に
・結果が出やすいものを優先する
・その会社の文化で「よい」とされていることを優先する
の2つです。
例えば、営業の部署でいきなり「優良顧客を受注する」という目標を立てたとしたら、当然長期での交渉が必要になるので、結果が出るのは3ヵ月より長くかかるでしょう。受注金額が1/10だったとしても、3ヵ月以内にスピード受注できるほうを優先した方がいい、ということです。こうすれば、転職してきたAさんが入社して「初受注」した、というのはそれだけでニュースバリューがあります。
あるいは、「チャレンジすること」がよしとされている会社であれば、とにかく毎週企画を出してみるだけでも、「結果」とみなしてもらえる可能性があります。
一番よくないのが、こうした「3ヵ月のギブ」をせずに「前の会社はこうだった」などと転職してきた会社を批判する行動をしてしまうこと。『OPENNESS 職場の「空気」が結果を決める』でも述べた通り、社員同士の風通し良く、何でも意見交換できるのがこれからのグレートカンパニーの条件ですが、それとセットで社員側の「ギブする姿勢」が重要であることは、いつの時代も変わらずに重要でしょう。
まとめると、転職してすぐ活躍できる人の条件は「3ヵ月のボーナスタイムをうまく意識して、大きな成果ではなく、小さな成果を狙いにいけるひと」ということでしょう。