これは、脳内で自分に対して発するひとり言でも同様です。いつでも「成功した姿」をイメージできる言葉を使って物事を考えることで、潜在意識によいイメージを刷り込むことができると、体の動きやパフォーマンスの質が上がります。

五輪内定を獲得したクライミング・野口啓代選手の心構え

「目標」と「目的」は異なります。大事な試合やプレゼンなどをまえにして、この2つの違いを明確にすることは、本番発揮力を高めるうえで欠かせない要素となります。では、「目的」とは、「目標」とはそれぞれ何を指しているのでしょう。

「目的」とは「的」のこと、「目標」は的へたどりつくための「標しるべ」のことと私は考えます。目標の先には目的というものがあるのです。

 実際、スポーツクライミングの野口啓代選手も目標と目的の違いがわかったことで試合への心構えが変わったと言っています。「以前は、試合で優勝するという目標までしか見えていなかったのです。その頃は、優勝という目標を達成できたら、うれしいな、幸せだな、で終わっていました。でも、勝つという目標の先に目的というものがあることを知ってからは、勝敗や順位でなく、試合までの過程やパフォーマンスの内容など、コントロールできることにフォーカスし、取り組めるようになりました。それにより目標も達成できるようになったのです」

 2019年8月、八王子で開かれた世界選手権で野口選手の目標は、日本人最高位になり、東京五輪内定第一号になることでした。では、その時の野口選手の目的はなんだったのでしょうか。彼女はこの世界選手権で内定が決まらなければ引退することを表明していました。最後の勇姿は東京五輪か世界選手権のどちらかと覚悟を決めていたのです。