小室 働き方の政策を担当されているだけでなく、自ら実践することが、魂が入った政策の実現には必要なのですね。

 厚労省の職員の皆さん自身の働き方改革にも、注目が集まっていますね。最近では若手改革チームからの提言で「厚労省に入省して、生きながら人生の墓場に入ったとずっと思っている」というショッキングなフレーズがありました。

 一方で、そういった声を外に出したというところに大きな変化を感じました。厚労省が、心理的安全性が高く生産性が高まる組織に変わりつつあるのを実感しています。そのあたりについてもお聞かせください。

加藤 ヒアリングやアンケートをする中で、厚労省の職員は仕事に対する高い志を持ちながら、一方でかなり疲れているという実態が明らかになりました。厚生労働行政は、国民の皆さんの生活に直結する身近な行政です。やはり、そこで働く職員がパフォーマンスをしっかり発揮できる環境をつくることが、トップの責任であると考えています。

小室 厚生労働行政は、本当に国民にとって重要です。その職場が働き方が原因で優秀な人材から敬遠されてしまえば、国民にとって一番の損失ですよね。また国会の会期中には、国会答弁を用意するために、全省庁で合計20億円分もの残業を生み出しているという試算もあります。これも国民にとって大きな損失です。

 これは主に野党による質問通告時間のルールが守られないことによって起きているので、こういったことは超党派で解決していくことも期待したいです。ただ、各省庁の中で工夫できることも、多くあるはずです。具体的にどのような取り組みをされていますか。

加藤 若手チームからはいろいろな提言をいただきました。「できることはすぐに取り組もう」という姿勢で、国会答弁の様式をテンプレートからダウンロードできるようにしたほか、ペーパーレス化を試行実施するなど、業務の効率化に着手しています。大臣室でもペーパーレス化を進めているところです。

小室 大臣室もですか。

加藤 事務的な手続きだけでなく、組織のありようについても、若手の皆さんや民間から来ている方々から見ておかしいと思われるようなところを、1つずつ具体的に議論しています。一朝一夕にできるものではなく、継続して取り組むことが重要です。職員が熱意を持って働き続けられる環境づくりに、しっかりと取り組んでいくつもりです。

 そういった議論の中で、若い職員の皆さんのキャリア形成支援や仕事と家庭の両立支援、相談体制の充実などを進めています。若い人たちから「国で働くなら厚生労働省で働きたい」と思われるように、努力をしていきたいですね。

小室 最後に、男性の育休取得推進についてお聞きしたいと思います。日本社会の新入社員男性の80%が育児休業を取得したいと考えているのに対して、男性の実際の育休取得率は2018年度で6.16%に過ぎません。男性の育休がなぜ重要なのか、また日本の現在の取り組み状況についてもお聞かせください。