桜蔭・雙葉・豊島岡女子・渋谷幕張…。東京・吉祥寺の進学塾VAMOSは、「入塾テストなし・先着順」で生徒を選抜しないのに有名難関校に続々合格させると話題の塾だ。男女別カリキュラムを取り入れたロジカルで科学的な学習法は、保護者から圧倒的な支持を集めている。本連載では、VAMOSの学習メソッドが凝縮されたシリーズ累計3万部突破の『女の子の学力の伸ばし方』(ダイヤモンド社)から、子どもの計画・理解・反復・習慣のプロセスを体系化した「女の子の特性」に基づく学習法をお伝えしていく。

「子どもの決断力」を伸ばすために親が一番やってはいけないことPhoto: Adobe Stock

考える力はあっても「決断」できなければ意味がない

 考えるという作業において、最も重要なプロセスは「決断」です。

 ビジネスでも、考えて考えて「もうこれしかない」というものが見えていても、最後に決断ができなければ、それまで考えていた意味はありません。

 ところが、集団の意思を重視する日本社会では、大人であっても決断はなかなか大変。子どもであれば、なおさら大変です。しかし、だからといって、その大事な仕事を子どもから奪い取ってはいけません。

 中学入試で問題を解いている最中はもちろんのこと、子どもたちの将来においても意思決定のスピードを上げていくことは非常に重要です。そして、そうした力は、経験を積んでいかない限り身につきません。

 たとえば、迷路で遊んでいる子どもに対し、「そっちじゃないよ」と言ってしまったらどうなるでしょうか。子どもは、道を選ぶ決断の機会を持てません。

 たとえ、間違った道であっても、子どもがその道を行くという決断をしたなら、見守ることが必要です。川に落ちて命の危険があるというならともかく、時間がかかったり、子ども自身が疲れ果てるくらいで済むのなら、それは重要な経験となるからです。

 一番いけないのは、なんでも親が決めてしまい「ほらね、やっぱりお母さんの言うとおりにするといいでしょう」と念を押すこと。これによって、子どもの「自分で決める力」はまったく育たなくなります。

 実は今、排尿のタイミングがつかめずに、どのくらいもつか不安でしょっちゅうトイレに行く子どもが増えています。これも、母親が「そろそろトイレに行っておきなさい」と細かく指示を与えているからです。いつトイレに行くかは、自分ではなくお母さんが決めてくれるものだと思い込んでいる、笑い話ではすまない子どもが増えているのです。

 女の子にとって決断力は重要ではないなどとは、決して思わないでください。女の子の人生は男の子に比べて、はるかに「選択」機会が多いのです。

 結果がどうであろうと、自分で選択したことであれば納得できますが、「○○さんの言うとおりにしたのに……」と言っている限り納得感は得られません。

 そんな人生を歩ませないよう、幼い頃から決断力を育ませましょう。