周囲が「決断のハードル」を下げてあげる

 考えて決断していく力は男の子のほうがありそうですが、小学生の段階では女の子のほうが上です。

 ただ、「自分が正しいと思えるもの」を選ぶ男の子と違って、女の子は「ベストじゃなくてもいいからベターなもの」を選択する傾向にあります。というのも、もともと選択の場面が男の子より多い女の子は、選ぶことに疲れてしまっているのです。

 スティーブ・ジョブズがいつも黒い服を着ていたのは、「服を選ぶ悩みが減るから」だといわれています。「自分もそうしたい」と考えている父親も多いでしょうし、男の子は放っておけば何日でも同じ服を着ていられます。

 しかし、女の子はそうはいきません。服選びから髪型、鞄に入れるハンカチまで、「今日はどうしよう」と迷い、自分で決めていきます。それは楽しいことかもしれませんが、ときには苦痛だということが、母親ならわかるでしょう。

 人間関係についても、男の子なら「みんなでサッカーしようぜ」で済んでしまうところを、女の子はグループや友だちを選ぶところから話題選びまで、小学生の段階ですでにやっているのです。

 だから、女の子は「決めろ」と言われれば絶対にそれができます。ただし、決断疲れしているために、男の子のように「自分で決めたい」という主張が表に強く出ません。それを見て、「自分で決められないのだ」と間違って解釈してはいけません。

 女の子にとって望ましいのは、「とっとと一人で決めろ」でも「大人にまかせろ」でもなく、自分が決めることを周囲が共感を持って見守ってくれる環境です。

 選ぶことに対する緊張感を緩和し、リラックスさせてあげましょう。そして、間違った選択をしても気にしないで済むようなフォローを心がけてください。

 具体的には、「○○ちゃんの決めたことは応援するよ」というスタンスを取りつつ、明らかに間違っているようなケースでは、「もしかしたら、こっちは危ないかもしれないね」「失敗するかもしれないけれど、ダメだったらやり直せばいいか」と一緒に考えていく姿勢を示すといいでしょう。