渡すのを半ば強制されたチョコを用意することは苦痛以外の何ものでもなく、こうしたことが日本全国津々浦々の企業で行われているので、さすがにちょっと見直すべきなんじゃないかという声が上がってきて、各種ハラスメント行為是正の機運が高まってきたのと相まって、近年ではバレンタインを禁止する会社も出てきた。

 バレンタインを続ける会社、禁止する会社の内情について、そこに勤める社員の声を参考に実態を探りたい。

バレンタインもひとつのイベント
楽しまなければ損

 Aさん(36歳女性・既婚)は、いってみれば進歩的な会社に勤めている。昭和的企業風土を残した会社が用意する充実した福利厚生が「社としてこれだけ用意させていただきました。社員の皆様は安心して存分に働いてください」とやや堅苦しくしゃちほこ張ったものであるとするなら、Aさんの会社のそれは「みんなが楽しいとこっちも楽しいし、会社もできるだけのことはするからさ、ジャンジャン好きにしちゃってよー!」といったふうである。

 もちろん、人の集まるところがそう簡単に理想郷となり得るわけはないので、Aさんの会社にもほかの会社と同様どろどろした人間関係はあるし、社に対する不満がAさんにないわけではない。しかし会社が打ち出している基本姿勢の違いはやはり大きく、Aさんは概ね満足して会社勤めを謳歌している。

「うちはハロウィンの時は仮装して出社するのが奨励されるくらいイベント好きな会社なので、バレンタインもひとつのイベントとして、特に禁止されてはいません」(Aさん)

 ハロウィン時は皆、仮装を楽しんでいるそうである。ではバレンタインはどうか。

「私はもう楽しむという年齢でもないので(笑)。義理チョコを用意しますが、用意しなくちゃいけないので面倒といえば面倒です。

 でもまあ、ささいな、それこそチロルチョコなんかでもあげれば男性は喜んでくれるし、日頃の感謝を伝える機会なんてなかなかないですから。バレンタインはそれをライトな形で示せるので、いいんじゃないかと思います

 私はほとんど蚊帳の外ですが、若手女子社員の間では『イケメン社員が気合の入った義理チョコ○個もらった』とか、『誰々が誰々に本命あげた』とか、盛り上がっていることもあるみたいです。そういうのが聞けるのもなんだか楽しいです。聞いて『あらあらすごいわねえ』って言っている自分が、すっかりおばちゃんポジションになったことに気づくのも面白いし」