単純な見逃し、医療ミスではなかったと思いたいが、患者がバドミントンの世界チャンピオンであり、半年後に金メダルを争う大切な選手だという認識は当然あるはずだから、一般の生活者と同じ判断基準を用いたとすればそれもおかしな話になる。

 桃田選手がマレーシアで交通事故に遭った際に乗っていたのが安価なワゴン車だったこともそうだが、日本中が固唾を飲む思いで応援している金メダル候補たちが、こうも杜撰な環境、無神経な医療支援しか受けられずにいるとは絶望的な気持ちになる。

 この一件を見る限り、日本のスポーツ医療の現場のレベルは恐ろしく低く、配慮もない。

視覚のプロフェッショナルを
桃田選手のブレーンに迎えるべき

 モノが二重に見えるのは、眼窩底骨折した右目が起こしている異常ではない。人は左右の目でそれぞれ外の光景を捉えている。本当は、両目の幅の分だけずれた二つの像が脳に送られている。脳はこれを瞬時にひとつに重ね合わせ、いつも私たちが見ている自然な視覚に調整している。

 ところが、左右の目の機能に大きな差があると、瞬時の調整がうまくいかず、二重に見える。例えば、手のひらで片目ずつサッサッと隠し、見える映像が少し左右にズレる程度なら大丈夫だが、高さが大きく上下するような差異がある人もモノが二重に見える場合がある。

 桃田選手の場合、左目の動きは正常だが、右目の動きに支障があって左右のバランスが崩れているのではないかと見られる。

 ある医師によれば、手術によって改善はされるが、二重に見える状況が改善されるのに1、2年かかる人もいるという。先ほどの麻生医師も、「この症状の改善は通常、半年くらいの期間でみる必要がある」というから、東京オリンピックでの活躍を前提に考えれば、決して楽観視できる状態ではない。