結婚式に参列する際、必ず用意するご祝儀袋。文房具店のほか、雑貨店や書店などで売られているが、注目すべきはその華やかさだ。包み紙の色や柄、水引の形など、実に多種多様で、従来のご祝儀袋とはかけ離れたデザインがあふれている。ご祝儀袋の進化は、一体いつから始まったのか? 祝儀袋で国内シェアトップのメーカーに話を聞いてみた。(清談社 中村未来)
ご祝儀袋の進化は
バブル期に始まった
結婚式で使うご祝儀袋といえば、白地の袋に紅白ののし、金銀の水引という形が思い浮かぶ。会社の上司など、目上の人の結婚式に参列する場合には、こうしたオーソドックスなデザインのものを渡すのがマナーだ。
一方で、雑貨店や文房具店で見かける華やかなご祝儀袋は、仲の良い友人など、カジュアルな結婚式向きとされている。水引がリボンになっていたり、お祝いの名目が英字だったりと、各メーカーが趣向を凝らしたデザインのご祝儀袋を販売している。祝儀袋トップメーカー、マルアイの広報担当者によると、こうしたデザイン性に富んだご祝儀袋が登場した背景には、バブル期の派手婚ブームが関係しているという。
「バブル期は、芸能人のような豪華な披露宴を執り行う“派手婚”が全国的なブームでした。それに伴い、ご祝儀袋も豪華に華やかにしようと、アレンジが加えられるようになったのが、ご祝儀袋の進化のはじまりだといわれています」(広報担当者、以下同)
マルアイがアレンジを加えたご祝儀袋を発売したのは、1984年頃。マルアイの商品開発部内で、「こういった水引を作ってみるのはどうか」という企画が持ち上がったのがはじまりだった。
「“梅結び”と呼ばれる、お花のような形の水引をあしらったのが最初です。その際に発売されたご祝儀袋は、デザインはちょっと変化しましたが、現在もラインアップに並んでいます」
その後、あっという間にバブルははじけ、派手婚の文化も徐々に衰退していったが、ご祝儀袋の進化は止まらなかった。というのも、1990年代後半~2000年代にかけて、バラエティーグッズを取り扱うチェーン店が都市部に次々出店。ご祝儀袋を取り扱う店舗が増えたためだ。
「東急ハンズやロフトの出店によって、市場が定着・拡大していきました。ご祝儀袋の進化が止まらなかったのは、これが大きいのではないでしょうか」