このほか、想定外の需給逼迫を生んだ要因には、企業が有望な人材の雇用につなげるべく、彼らが働きたいと思える職場にしていくためにハイグレードなオフィスを借りたり、増床したりしたこともある。

「若手の雇用や人材を確保するために都心にスペースを確保したいという企業の意欲、それを可能にする企業の業績があった」と不動産サービス大手CBREの大久保寛リサーチヘッドエグゼクティブディレクター。

 オフィス仲介大手の三幸エステートの今関豊和市場調査室長チーフアナリストは「シニアや女性の労働参加率が上がっていること。就業者数が増えたことに尽きる」と言う。

 シェアオフィスを利用して働き場所を分散させた企業はその分、本社なり既存オフィスを縮小する判断を下すかもしれないが、シェアオフィスを使った働き方はまだ試験段階の企業が多い。

 そのため、今は既存のオフィスにプラスアルファで重複して使っているような状況だ。ここがどうなっていくのか、まだ市場は読み切れていない。

 三幸エステートグループのオフィスビル総合研究所では、東京都心5区においては、20年から徐々に空室率は上昇していくと予測している。

「生産年齢人口が減っていく中で、今後は就業者数の伸びは期待しにくくなる。就業者が増えないと実需が伸びない」と、今関氏は分析する。