11年たってもピークアウトしない異常
異次元緩和が生み出した「異次元不動産市場」
オフィス賃料はそのときの不動産の局面を象徴する。
不動産サービス大手のジョーンズ ラング ラサールは、オフィス賃料の動向を示す独自の分析ツール「不動産時計」によって、不動産が今どの局面にあるかを長年示してきた。
0時をピークとして、0~3時は賃料下落の加速期、3~6時は賃料下落の減速期。6時をボトムとして、6~9時は賃料上昇の加速期、9~12時が賃料上昇の減速期。時計の針がぐるりと1周すると次の周期になる。
前回の周期は0時が2002年、6時が04年、12時が08年1~6月の間だった。6年で1周したことになる。
今回の周期は0時が08年1~6月、6時が11年。19年は11時30分を指している。11年たってもピークアウトせず、1周していないのだ。
異次元金融緩和が「異次元不動産市場」を生み出したからである。
超低金利で溢れるマネーが不動産市場になだれ込み、物件売買ではリーマンショック前を超える高値が付く。なおもオフィスやホテルが大量に開発される中、実需はアラートを出し始めた。融資の選別も始まっている。
特集「不動産・開発 危うい狂乱」では、2月3日(月)~8日(土)の全13回にわたって過熱する不動産・開発の今に迫る。
#1 2月3日(月)配信
ウェスティン東京、1000億円の高値売却が物語る「不動産価格狂乱」
東京・恵比寿にあるウェスティンホテル東京をシンガポールの政府系ファンドであるGICが約1000億円で売却した。実質的な買い手は中国系企業。金融危機前の2008年に770億円で取得したGICは、これを上回る金額で売ってみせた。
#2 2月3日(月)配信
「東京の不動産」を海外投資家が買わなくなった3つの理由
米国のアパレルブランド、アバクロンビー&フィッチが入居し、賃料を巡り訴訟にまで発展したいわく付きの銀座のビルが前回を上回るとみられる金額で売却された。高値っぷりがすさまじい「東京」を海外投資家が買わなくなってきている。
#3 2月4日(火)配信
新宿駅ビルが超高層化!電鉄3社主導の大型開発、独自予想図を公開
東京・新宿駅は大改造によってすっかり生まれ変わる。この大型開発を主導するのは、大手不動産会社ではない。JR東日本、小田急電鉄、京王電鉄の鉄道3社で、東京都との土地交換も着々と進む。都庁を超える超高層駅ビルも建つ完成予想ビジュアルを描いた。
#4 2月4日(火)配信
東京メトロ「副都心線の東池袋駅」開設が秒読み、場所は池袋東口エリア
東京・池袋駅東口から真っすぐ延びるグリーン大通りには、東京メトロ副都心線「東池袋駅」の候補地がある。池袋駅がある豊島区と東京メトロは、利用客が見込める段階で新駅を設置する確認書を取り交わしていた。
#5 2月5日(水)配信
ゼネコンのポスト五輪、虎ノ門・六本木・赤坂で1兆円級開発受注バトル
東京五輪・パラリンピック開催に合わせた建設ラッシュで潤ったゼネコンの戦いはポスト五輪のプロジェクトに移っている。大手がこぞって参戦する東京・虎ノ門、赤坂、六本木エリアの推定工事費は総額約1兆円。ここで最もでかい案件を手にしたのが清水建設だ。
#6 2月5日(水)配信
NTTが不動産開発に殴り込み!大手町・品川・日比谷…8500拠点保有の脅威
NTT東日本とNTT西日本は2025年までに、電話局の設備をアナログからインターネット技術を使ったものへ全面的に切り替える。設備の再編と並行するかたちで、NTTグループが保有する電話局やオフィス約8500拠点を使った不動産開発に乗り出すゴングが鳴った。
#7 2月6日(木)配信
関西不動産業界のトップを異業種が狙う、関電・JR西・京阪・南海の野望
関西経済界の雄である関西電力は、JR西日本や京阪ホールディングスなどの鉄道系を出し抜いて「関西の不動産業界トップになる」と豪語する。本店がある中之島でも再開発に乗り出し、「関電島」を築こうとしている。
#8 2月6日(木)配信
名古屋駅前「トヨタ村」拡張計画が白紙危機!意外な伏兵の正体
JR名古屋駅前には、トヨタ自動車本体が入居するミッドランドスクエアを中心とするビル群で形成された「トヨタ村」がある。さらなる拡張をもくろんでいたトヨタ村は2019年12月、絶望の淵に突き落とされた。大本命の物件をかっさらわれたのだ。
#9 2月7日(金)配信
福岡の再開発、2強JR九州・西鉄に地場不動産が「天神ビッグバン」で逆襲
博多といえばJR九州。天神といえば西日本鉄道。福岡の大型再開発はこの2社が主役を演じてきた。そんな中、高さ規制を緩和した天神地区の再開発「天神ビッグバン」で地場不動産会社に追い風が吹いた。2強の陰でしこしこと仕込んだ土地が輝きだした。
#10 2月8日(土)配信
ウィーワークを大企業社員が結局退会した理由、孫氏肝入りオフィス事業の危うさ
ウィーワークに入会して高揚したのは最初だけだった。周囲に聞かれたくない内容の電話を受けて電話ブースへと向かう。ところが順番待ちの状態。デスクではパソコンをのぞかれないか心配が募る。「ワークできない」と大企業社員は結局、退会した。
#11 2月9日(日)配信
ホテル乱造の末路、宿泊料値下げ合戦開始で開発業者の阿鼻叫喚
「価格が高過ぎるね」。投資家から返ってきた一言に開発業者は肩を落とした。外国人観光客の増加を当て込んだ建て売りビジネスホテルが、思うように売れなくなった。ホテルはすでに乱立状態。営業中のホテルでは宿泊料の値下げ合戦が始まっている。
#12 2月10日(月)配信
中古タワマン40階の売却価格が「格下の20階」と変わらない残酷な現実
タワーマンションでは、階が上になるほど値段が高く、高層階に住むことで「格上」の意識を持つ住民が多い。しかし、売りに出された40階と20階の成約価格が平米単価で同じというケースが出てきている。売り手の望む価格で売れなくなっているからだ。
#13 2月11日(火)配信
不動産融資の選別が加速、最後の貸し手はメガの“無尽“と四国の地銀?
東証1部上場の中堅不動産会社であるスター・マイカ・ホールディングスは、保有していた一棟物の投資物件約20棟を2019年までに全て売却した。収益不動産に過熱感が見え始めた16~17年ごろから、近い将来にピークを迎えると予期したからだ。
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