プロ野球の南海ホークス(現・福岡ソフトバンクホークス)で戦後初の三冠王や、監督としてもヤクルトスワローズを3度の日本一に導くなど、希代の名選手で名監督でもあった野村克也氏が今月、死去した。さかのぼること17年前、企業経営に通じる組織や人の育て方について野村氏に取材したものの、編集上の理由で事実上のお蔵入りとなった。今、そのインタビューを初公開する。(聞き手/ダイヤモンド編集部 松本裕樹)

監督業とは
すべてが人作り

野村克也Photo by Kazutoshi Sumitomo

 僕たちが現役時代のチーム作りと今のチーム作りはまるっきり異なるものです。

 かつてのチームはいわば手作りで、選手個々人の能力を上げていくものでした。しかし、今や巨人に代表されるように、巨額のカネを使って良い選手を連れてくる時代になりました。極端にいえば「カネで優勝が買える時代」になったともいえます。

 なぜこのような変化が起きたのでしょうか。

 僕の50年間の野球生活で見るかぎり、その理由は、かつての根性野球、精神野球の時代が、管理野球、情報野球に変わったことが大きいと思っています。