経営不振の地方銀行に今、大手ネット金融のSBIホールディングスが救済の手を差し伸べている。かねてダイヤモンド編集部では「銀行危険度ランキング」を実施し、経営危機の緊迫度が高い地銀をあぶり出した。このランキングの上位地銀を対象に、足元の決算分析を通じて救済の可能性を探った。(ダイヤモンド編集部 田上貴大)
SBIが救済に動いた地銀4行中3行が
銀行危険度ランキングのワースト20以内
「(業績低迷が)限界の域に達した地銀は、まだ残されている」──。ある金融庁関係者は、地方銀行業界の現状についてこう指摘した。「残されている」という言葉は、地銀再編の台風の目となったインターネット金融大手のSBIホールディングス(HD)の動向を見据えてのものである。
昨年SBIHDは、「第4のメガバンク構想」をうたい、複数の地銀と資本業務提携に向けて動き始めた。基盤システムの共同利用などを掲げ、2019年9月に島根銀行、11月に福島銀行、20年1月に筑邦銀行(福岡県)、そして2月18日には清水銀行(静岡県)と提携を結んだ。
SBIHDの提携路線は、業界内で“弱者救済策”として受け止められた。かねてダイヤモンド編集部で全国111銀行を対象に実施した、「銀行危険度ランキング」の結果がその証左だ。
このランキングでは融資・手数料ビジネスの利益率や有価証券運用の利回り、経営の効率性を示す経費率と自己資本利益率、市場評価といった複数の指標で順位付けした。結果は、福島銀がワースト1位、島根銀がワースト2位、筑邦銀がワースト13位と4行のうち3行がワースト20位以内に入った。清水銀もワースト32位と、不振にあえいでいる様子がうかがえる。
SBIHDなど異業種も含めた救済的な再編が予期される地銀が、依然として多く「残されている」ことを示すランキングといえる。実際、SBIHDの北尾吉孝社長は「10行程度の地銀から打診が来ている」と述べ、出資先のさらなる拡大に意欲を示している。