それにしても暑い――。最近、「日本の夏が暑すぎる」と感じている人は多いのではないだろうか。オフィス街ではビジネスマンやOLが、滝のような汗を拭いながら炎天下を歩く姿が目に付く。熱中症で倒れる高齢者も急増中だ。なぜ日本の夏は、かくも暑くなってしまったのだろうか。「日本が熱帯化しているのでは」という声もあるが、だとしたらそれは温暖化だけが原因なのか。そして、猛暑は社会にどんな変化をもたらしているのか。気象データや専門家の声を踏まえながら、徹底検証してみよう。(取材・文/岡 徳之、協力/プレスラボ)
熱中症患者が1週間で9000人
もはや生活に支障が出るレベル
拭いても拭いても滝のように流れ落ちる汗、頭の芯をえぐる容赦ない直射日光。暑い。とにかく暑い――。
最近、「夏が暑すぎる」と感じている人は多いのではないだろうか。オフィス街ではビジネスマンやOLが、苦々しい顔をして炎天下を歩く姿が目に付く。「夏バテでどうも調子が上がらない」という人も少なくなかろう。
今年も日本の夏は暑い。先月末には、気象庁から全国に熱中症対策を促す「高温注意情報」が出され、全国約930の観測点のうち、今季最多の123観測点で35℃以上の猛暑日、全観測点の8割にあたる744地点で30℃以上の真夏日を観測した。
とりわけ「猛暑の常襲地域」を見ると、岐阜県多治見市で38.5℃、群馬県館林市で37.9℃、埼玉県熊谷市では37.8℃を記録。東京都心も34.2℃となり、少し外に出ただけで何もしなくても汗が噴き出してくるほど。そこにはもはや、古きよき日本の夏の風情はない。ここまでくると、ビジネスや日常生活に支障をきたすレベルだ。米国を襲っている大干ばつも心配だが、何より自分の身が心配になる。
連日続く猛暑のなか、熱中症による搬送者数は急増している。総務省消防庁の発表によると、7月23日~7月29日までに救急搬送された熱中症患者は9055人。7月30日~8月5日は6891人となり、そのうち10人が死亡したという。
特に気をつけなければいけないのは高齢者で、搬送者の半数以上を占める。もちろん、成人も2454人(7月30日~8月5日)と多いため、若くて体力に自信があるからと言って油断するのは禁物だ。