極端にパワハラ発言を連発するクセがあったり、時々感情が爆発して怒鳴ったりしなければ、普通に生活しているぶんには録音騒ぎは起こらないかもしれない。
とはいえ、自分の伝えたことが一字一句たがわず保存され、いざとなったら公開されるという可能性は、もっと身近なところに以前からずっと潜んでいる。
そして公開された時の「赤面度」が圧倒的に高い恋愛面において、受け手は保存と時期をみた公開をかねてから惜しみなくしてきた。古くは恋文、現代ではメール、ごく最近ではLINEが一般的なのだろう。
小説家や音楽家たちのかつての恋文が死後に記念館で公開されたり、まとめて書籍化されたりしたものは、ファンの心をロマンチックに打つこともある。
例えば、芥川や川端の恋文は有名だし、ナポレオンやモーツァルトの恋文をまとめた「LOVE LETTERS of GREAT MEN」は、映画「セックス・アンド・ザ・シティ」で主人公が朗読したことによって話題となり、日本語訳が出版された。
だが、それらですら本人的には赤面ものだし、生きていたら絶対許可はしないだろう。「お菓子なら食べてしまいたい」なんて、何十年も熟した文豪の名を冠してすら、ちょっと恋愛熱に浮かされていない限りは口にしにくい。
女子会で話題の
嫌われるLINEとは
こうした高名な小説家でも音楽家でもないオジサマ方であっても、デジタル文書が一般的な昨今では、ちょっとした連絡、酔った時のたわごと、必死の口説き文句がそれぞれ、意中の女性のポケットの中に保存されてしまうことになった。