【一発アウト】「スマホロックの罠」に注意! 身近な人が亡くなった後に困ること
大切な人を亡くした後、残された家族には、膨大な量の手続が待っています。しかも「いつかやろう」と放置すると、過料(行政罰)が生じるケースもあり、要注意です。本連載の著者は、相続専門税理士の橘慶太氏。相続の相談実績は5000人を超え、現場を知り尽くしたプロフェッショナルです。このたび、最新の法改正に合わせた『ぶっちゃけ相続「手続大全」【増補改訂版】』が刊行されます。本書から一部を抜粋し、ご紹介します。

【一発アウト】「スマホロックの罠」に注意! 身近な人が亡くなった後に困ることPhoto: Adobe Stock

「スマホロックの罠」とは? 身近な人が亡くなった後に困ること

 本日は「スマホロックの罠」についてお話しします。年末年始、相続について家族で話し合った方も多いかと思います。ぜひ参考にしてください。

「父が亡くなりました。スマホには家族の写真や電子マネーがたくさん残っていると思うのですが、パスコードがわからなくて……」

 近年、こうしたご相談が急増しています。スマートフォンが生活の中心にある時代。電話帳、写真、日記、金融資産、そしてサブスクの登録まで。スマホが開けないことで、さまざまな手続に支障をきたすケースが後を絶ちません。

故人の顔や指でロック解除できる?

「顔認証や指紋認証があるなら、それで開ければいいのでは?」と考える方も多いでしょう。確かに、iPhoneやAndroidには生体認証の機能がありますが、実は「本人でないと開かない」ように設計されています。

 例えばiPhoneの場合、一定時間が経過したり再起動されたりすると、パスコードの入力が必須になります。その場合、指や顔を当てても反応しなくなります。Android端末も同様で、生体認証だけで使い続けることは難しく、やはり最終的にはPINコード等の入力が求められます。

スマホが開けないと、どんな問題がある?

 具体的には以下のような支障が生じます。

●ネット銀行・証券・仮想通貨などの財産の把握が困難に
●サブスクや会員制サービスの退会ができず、支払いが続く
●思い出の写真や動画が失われる
●知人・仕事関係の連絡先がわからず、訃報の連絡ができない

 特に、財産把握とサブスクの解約は、相続手続に直結するため、早期に確認したい重要項目と言えるでしょう。

Apple IDやGoogleアカウントがわかれば、望みはある

 スマホ本体がロックされていても、iPhoneであればApple IDとそのパスワード、AndroidであればGoogleアカウントとパスワードがわかっていれば、クラウドに保存された写真や連絡先、メモなどのデータにアクセスできる可能性があります。

 生前、故人がパスワード管理アプリを使っていたり、手帳や書類にID・パスワードをメモしていたりすることもあります。パスコード自体が、キャッシュカードや銀行の暗証番号と共通に設定されている場合もあるため、身の回りのヒントを丁寧に探してみる価値はあります。

スマホのロック解除、法的には大丈夫?

「故人のスマホを勝手に操作するのは違法では?」と不安になる方もいます。

 確かに、故人の気持ちが確かめられない状態で、パスコードの解析や端末操作を行うことには倫理的な疑問が生じます。しかし、相続人が、故人の遺産に含まれるスマートフォンの中身(情報)を、正当な相続手続の一環として確認する目的で操作することは、原則として違法とはされないと考えられています。

 特に、相続人全員の同意が得られている場合や、目的が「財産調査」「契約確認」などの相続手続に直結する内容である場合には、実務上問題視されることはほとんどありません。

 一方で、故人が生前、スマホ内の情報について「見てほしくない」と考えていた可能性もあります。日記や個人的なメモ、プライベートな写真など、プライバシーに深く関わる情報も含まれているため、確認は必要最低限にとどめるという配慮も大切です。

 また、アプリの利用規約上、アカウントの一身専属性(本人のみ利用可)が定められているサービスも多く存在します。こうしたアプリに故人死亡後にログインすることは、利用規約違反に該当する可能性があるため、特にネットに接続した状態での操作には注意が必要です。

(本原稿は『ぶっちゃけ相続「手続大全」【増補改訂版】』の一部抜粋・加筆を行ったものです)