グーグルPhoto by Hiroyuki Oya

 フェイスブックのリブラが退けられて、デジタル人民元が浮上してきた。それに対抗するため、日欧中央銀行のデジタル通貨への取り組みが始まった。

 そこにグーグルというIT巨人企業が参入してきた。世界通貨のヘゲモニーをめぐる戦いが先鋭化する。

FRBが中央銀行デジタル通貨に
消極的な理由

 中国のデジタル人民元の動きが伝えられるようになったとき、欧州中央銀行(ECB)やイングランド銀行は、世界通貨の覇権を取られると、敏感に反応した。

 ところが、アメリカは一向に重い腰を上げようとしなかった。

 ムニューシン米財務長官は、2019年12月5日、米下院金融サービス委員会の公聴会で、「今後5年間は、中央銀行発行デジタル通貨(CBDC)を発行しないだろう」と述べた。

 米連邦準備銀行(FRB)のパウエル議長も9月に、「デジタル通貨について注目しているが、発行することは積極的に考えていない」と発言している。

 多くの人が、FRBの消極的な態度を、不思議に思っているだろう。