「中銀デジタル通貨」元年到来か、群雄割拠を読み解く3つのキーワード中銀デジタル通貨のデファクトスタンダードを巡る駆け引きが激化 Photo:REUTERS/AFLO

 国際決済銀行(BIS)は1月23日、『差し迫った到来-CBDC調査続編(Impending arrival ‐ a sequel to the survey on central bank digital currency)』と題した報告書を公表した。

 続編としているのは前回(2019年1月)調査の存在ゆえである。「差し迫った」と銘打ちながらも、今回の調査結果を見る限り、ほとんどの中銀は依然、調査や概念検証こそ行っていても、実際に発行計画を視野に入れるまでには至っていない。

 CBDCは、金融機関の相互取引を想定するホールセール型と民間部門(企業と家計)を対象とする一般利用型(リテール型)の2種類に分類できる。BIS調査ではどちらの類型のCBDCについても尋ねているが、世間の関心は無意識のうちにリテール型を想定しており、民間銀行部門における預金や決済のあり方を含め既存システムへの影響が大きいのもやはりリテール型である。

 片や、ホールセール型は当座預金という形態ですでにデジタル化されている債務に対し、ブロックチェーン(分散型台帳)技術でどう効率化していくかという試みになる。仮にリテール型CBDCを本当に流行らせるのであれば、中央銀行と既存の銀行部門の関係や関連法制などを含めた「未来の金融システムのあり方」という非常に大きなテーマも議論することになる。

 そう考えると、導入の実現可能性は本来、軽々に口にできないはずだ。各論者が各専門分野の中で「言いたいことを言っている」というのではこの問題の広さや深さを見誤ってしまうのが実情だろう。