異常な自己保身をしてきた
厚労省のカルチャー

 では、なぜ厚労官僚は日本国民の安全に関わるような危機を前にして、このようなワケのわからない暴走をしてしまうのか。国民の奉仕者になりたいと一生懸命に、国家公務員試験の勉強をしたようなマジメな人たちが、なぜこんな愚かなことをしてしまうのか。

 いろいろな意見があるだろうが、筆者は、厚労省という「組織のカルチャー」が大きく影響していると思っている。

 古くは薬害エイズ問題、消えた年金問題、そして近年では毎月勤労統計のデータ捏造、介護保険料の算出ミス、シベリア抑留者の遺骨が日本人のものではないと知りながらも放置していた問題などなど、厚労省は不祥事が絶えない。

 これらに共通するのは、自分の「立場」さえ安泰ならば改ざんも隠蔽もいとわない、何か大きな問題があっても見て見ぬふりをする、という、異常なまでの「自己保身カルチャー」だ。

 こういうクサいものにフタ的な組織からすれば、岩田氏のような人物が「危険分子」であることはいうまでもない。「なぜこんなメチャクチャな感染対策をしているんですか?」と意見をされたら、誰かの立場が危うくなってしまうからだ。

 これを避けるには、「危険分子」を追放するしかない。人間の免疫機能が、外部から侵入したウイルスに対して、総力を挙げて攻撃をするように、自分たちの保身のため、外部から来た「異物」は総力を挙げて潰すのである。

 この強烈な縄張り意識、偏狭なセクショナリズムが、感染対策の専門家たちの口を封じて、追放するという常軌を逸した行動を招いたと考えると、すべて説明がつく。

 そこで疑問なのが、なぜここまで厚労官僚は「自己保身カルチャー」が強いのかということだろう。

 役人の自己保身というのは、国によって程度の違いはあれど、世界のどこでもある普遍的なカルチャーである。だが、感染対策の専門家を追い払ってまで自分の立場を守るというのは、どう考えても「異常」だ。なぜこんな自国民の生命安全を軽視した暴走ぶりになってしまうのか。